興津理絵 / Greenery, Inc.
代表 / 花学者(kagakusha)
私は物心がついた頃から花への関心が強く、小学生のころには毎日たくさんの花を育て、学校の花を観察して毎日日記をつけたり、日陰と日向での植物の成長過程の違いを実験したりなど、寝ても覚めても植物への関心は高まるばかり。
なぜなら「可愛い」「綺麗」ではなく、花の持つ「命」に大きなエネルギーを感じていたからです。
私は姉が生まれつき心臓が弱く、幼少期から入退院を繰り返していて、人の命に遭遇する機会が多くありました。どんなに辛く苦しい状況であっても、病室にあるたった1輪の花に家族皆が癒され、励まされていました。
子供ながらに「花の命の力」を無条件に感じ取っていたのです。
その後、「大切な人の命を守りたい」という想いから医学の道に進みましたが、私自身大きな困難に直面したり、気持ちがすっかり落ち込んでしまった時にはいつも花が私を励まし、心のたくさんの栄養を与えてくれました。
それはつくりものではなく、命ある花だからこそ人は励まされ、勇気をもらえるのだと感じ、いつしか「人の命に力を与える花」をたくさんの人に届けていきたいと思うようになりました。
そうして「生きた花を生かし続ける技術」の研究が始まり、最も美しい瞬間で時を止める最適な手法を日夜模索しました。
様々な実験を繰り返した結果、水中に花を入れ保存ができたらと試みた瞬間、水中で花が揺れ動く見たこともない神秘的な世界と想像を絶する美しさに大きな衝撃を受けました。そこにはこれまでにない花の魅力が存分に映し出されており、花のまだ見ぬ可能性を強く感じました。それから内容液の組成や植物の保存工程へのプロセスについて研究に従事し、幾度となく実験と改良を繰り返し、色鮮やかな草花を長期保存することに成功。水と花が奏でる今までにないフラワープロダクト「フラワリウム」が誕生しました。
花はお祝い事がある時や感謝の気持ちを伝えるためのツールとして用いられることが多いですが、私は頑張っている人にこそ、花の命が宿るフラワリウムを届けていきたいと思っています。生きた花を閉じ込めたフラワリウムはいつまでも大切な人のそばにいて勇気を与え、応援し続けてくれます。1人でも多くの方がフラワリウムで癒され、また明日頑張ろうと思ってくれるようになることを心から願っています。
Greeneryでは、お花屋さんやウエディング、
会場装花などきれいに咲き誇っていながらも捨てられてしまう
花たちに新しい命を吹き込む活動も行っております。
作品として再び社会に送り出すことで、
お花の再利用に取り組んでいます。
Greeneryでは、震災後の熊本で花を育てる活動を行っています。収穫
した花は作品に使用され、売上の一部が被災地への支援に利用されて
います。